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コレクターの眼①〜ハリー・G・C・パッカード

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『美術を愛でる』は個人の世界

 

なぜ「美術を愛でるは個人の世界」かと申しますと、

美術館で名品と呼ばれるものを見ていて、

「どこがいいのかわからない」という方もいれば、

「こんな美しい作品は見たことない!」という方もいます。

 

例えばある作品をみて「美しい」と思う人が何人かいるとします。

しかし、厳密に言うとその見え方、何が美しいと感じるのかは全員違うはずです。

色がきれい、形がきれい、など言葉で表すと同じように聞こえて(見えて)しまいますが、

全く同じように感じることはできません。

それをなぜかと考えましたら、

「どう見えることができるか」という一種の身体能力だけでなく、

そこにはそれぞれが人生でどんなものを見て、経験してきたか、

学んできたかが表れるからではないでしょうか。

 


そうした上で、古美術作品の美しさを誰かと語る、共に愛でることは楽しいものです。

 

私は日頃お客様と書画を前に、お話しさせていただくことが多いですからよく感じます。

特に自分が仕入れてきたものを、『これいいですねー』と言ってもらえた時はたまらなく嬉しい。

思わず”共感していただいてありがとうございます!”と言ってしまうほどです。

お話しをする中で感じるのは、コレクターの方は当然のごとく,

皆さんそれぞれの趣味や収集ポリシーをお持ちだということです。

 

学者であり、コレクターであったハリー・G・C・パッカード

 

日本美術蒐集記

今回ご紹介するのはハリー・G・C・パッカード氏で

す。

パッカードコレクションはニューヨーク・メトロポリタン美術館に入り、日本美術ギャラリーオープン時のコレクションの柱になるものでした。

 

先日、そんなパッカードさんがどのように日本美術を収集したのか、蒐集にまつわるエピソードなどが書かれた『日本美術蒐集記』を読みました。

 

その中で、氏の絵画収集のポリシーが書いてある部分が印象に残ったので、ここでご紹介したいと思います。

 

『私は画家たちの知名度や世間の評判、作品の商品価値は受容するにたらないと考えてきた。

むしろ、

一、作品が描かれた当時において独創的なものであったかどうか。

二、作品がそれまでの日本美術にない新しいものを加えてその後の美術に影響を与えたかどうか。

三、その作品がその時代の文化をよく表しているかどうか。

四、その絵が生き生きとしていて、優れた技術を見せているかどうか。

に私の興味があった。

 今でも私は、高名な画家の感動の乏しい、同種の作例の多い絵よりは、そう騒がれていない作者のものではあっても、本当にいい傑作を持ちたいと思う。』

 

氏は単なる収集家ではなく、カリフォルニア大学と早稲田大学の大学院で日本美術を学んだ「学者」の面も持ち合わせた方でしたので、収集でも学術的要素がみられるのでしょう。

 

ハリー・G・C・パッカード

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ワシントン大学で土木工業を学ぶ。卒業後、太平洋戦争が始まると軍属となりコロラド州の海軍日本語学校(ドナルド・キーン、祭殿ステッカーらも輩出した)に入学。

戦後間もなく初来日し、浮世絵の蒐集を始める。

カリフォルニア大学大学院で東洋美術研究を収めると再来日して、早稲田大学大学院で日本美術を学びながら縄文から近代まで、
それまで日本では評価を与えられていなかった、いわば日本人の盲点をついた日本美術品を蒐集。

 

その膨大なコレクションのうち、404点は1975年にニューヨーク・メトロポリタン美術館に入り、87年の日本ギャラリーオープンの際の柱となった。76年、バハマに日本や欧米の日本美術研究者を援助することを主なる目的とするメトロポリタン東洋美術研究センターを設立。株式会社東京設計事務所顧問(1959〜1991)91ねん10がつ、77歳で死去。(日本美術蒐集記より引用)

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