書画はどこで買えるのか
今回は『書画はどこで買えるのか』をお伝えしたいと思います。
・家に床の間があるし、正月や祝い事の日にはそれに合った掛け軸を飾りたい。
・普段から季節を感じられるような書画を飾りたい。
・女の子には「お雛様」、男の子には「兜」や「鯉」の図柄の掛け軸を贈り物にしたい。
でもどこに行けば買えるのかよく分からない。
そんな方に是非読んでいただきたい内容になっています。
実は、書画が買える場所も時代とともに増えています。
何よりインターネットが世に普及し、多くの古美術店が自店のホームページで販売もしています。
Yahooや楽天などのインターネットオークションも盛んに行われ始めて久しいです。
我々のような専門店から見ていると、それぞれの販売される場所ごとでの特徴や扱われる作品の傾向があります。
今回お伝えすることは、単に書画が買える場所というだけでなく、
「どこに行けば」、
「どんな作品が買えて」、
「どんなことに気をつけてもらいたい」のか、
ということをお伝えしたいと思います。
それでは一つ一つ特徴を説明したいと思います。
・デパート
近現代の書画の作品が多くあります。
有名作家の作品
現代作家の作品を買うことができます。
有名作家の作品
普段掛けにするような余り大きくない、飾りやすい作品を見つけられます。
価格はデパートが取る手数料が上乗せされることもあり、他で買うのと比べて高いです。
その分鑑定証や第三者機関による真筆証明が付いている作品が並びます。
現代作家の作品
お雛様や鎧兜、お正月に飾る松鶴図などから、禅に関する文句や絵が描かれた書画、俳句、和歌まで数多くあります。
古い作品を「中古品」というイメージを持たれる方もいらっしゃいますので、
”新品がいい”と思われる方はデパートがいいのではないでしょうか。
価格は有名作家と同様です。
・古美術店
「どんな作品が買えるか」はお店によって特色があり様々です。
その店の得意分野を知ることでお探しの作品が見つけやすくなります。
簡単に特徴をお伝えします。
書画専門店
その名の通り書画を専門に扱うお店です。
江戸時代以前が中心のお店と、明治以降の近代の作品が中心のお店と大きく二つに分かれます。
取り扱う作品のジャンル(流派)も豊富で、歴史に名を残した著名な書画家の作品が見つけられます。
価格はその作家が有名かどうか、作品の質の高さで決まります。
骨董中心の各種専門店
こちらは書画ではなく骨董品が中心で陶磁器や工芸品などが中心のお店です。
書画は飾りの一部として取り扱われています。
お店毎に専門分野が分かれていることも多いです。
〔例.茶道(抹茶、煎茶)、日本・中国の鑑賞陶器、李朝などの朝鮮の作品、民藝など〕
ですので、書画作品もその分野に属したものを見つけることができます。
価格はその作家が有名かどうか、作品の質の高さで決まります。
ただし、その専門分野から外れた作品(例えば茶道専門店で茶道で使いにくい作品など)であると価格がぐっと下がります。
あらゆる分野を扱う骨董店
この種のお店も書画より陶磁器や工芸品が中心です。
作家はよくわからないが普段飾りにはちょうどいいというような、
季節の花やお祭りのような風俗が描かれた作品が多いです。
特に作家にこだわりがなく、現代に描かれたものより少し古いものをお好みということなら、
こういったお店で作品を探されたらいいと思います。
価格は見た目のキレイさや面白さで決まります。
古書屋さん
古書=古本を扱うお店でも書画作品は買えます。
こちらは美術品もあれば、歴史的資料の色が強い作品が多くあります。
例えば江戸時代の地図(肉筆、版画)、華道の花の活け方が書いた巻物、画家の下絵など。
肉筆だけでなく木版の書画(本も含む)もありますから、浮世絵を扱うお店もあります。
著名な小説家・文豪の原稿や、書作品もあるのはいかにも本屋さんという感じがします。
価格はその作家が有名かどうか、作品の質の高さ、希少性で決まります。
*古美術店で作品を探す場合
今ではホームページから買えるようになっているところも多いですが、
古美術店の通信販売といえば目録(カタログ)販売が主流です。
目録は定期的に出されているので、気になったお店に住所を伝えて送ってもらうと
そのお店の特徴(専門分野、価格帯、ポリシーなど)が見えてきます。
一定期間は無料で送付してもらえるところが多いです。
・オークション
今では一般の方も参加できる公開型のオークションも増えました。
毎日オークション、シンワアートオークション、
古裂会などで頻繁にオークションが開催されています。
オークションに出品される作品は、
オークション会社の専門家が作品を前もって査定した作品のみが取り扱われます。
鑑定書などの第三者機関の証明があるかないかや、
真贋の保証が買い手側に委ねられているかどうか、必ず明記されています。
オークションの当日までに下見会としてオークションに出品される作品が、
所定の会場で数日間展示されますので作品を前もって確認することができます。
下見会は特別な場合は除き、誰でも参加できますし展示作品の分野も幅広く、
美術館のようにガラス越しではなく直に作品を見れるのも大きな特徴です。
自分が好きだと思っていた分野以外にも、魅力的な作品と出会える機会にもなるかもしれません。
価格についてですが、
作品には「エスティメイト=予想落札価格」というものが表示されています。
これは通常実際の落札価格よりも低く設定されています。
その理由は、
・相場より少し低い方が買い手の購買意欲を掻き立てる
・オークション会社としては落札されることが重要なので売れやすい設定になっている
といった理由です。
オークション会社も会社ごとに特色がありますので、
まずは下見会にいってみるか、カタログを見てみてください。
会員登録をして前もって住所などをオークション会社に伝えておくとカタログを送ってくれます(有料のところが多い)。
テレビや映画で見るようなオークションの世界を垣間見ることができます。
・骨董市
骨董を買うなら骨董市!というイメージをお持ちの方も多いでしょう。
その地方地方で毎月決まった日に開催される大小様々な市場から、
年に数回しか開催されない大骨董祭!といった規模の大きいものまであります。
京都で例えると、前者は毎月25日に北野天満宮で開かれる天神市がありますし、
後者は京都大アンティークフェアになります。
出店者は、前者は地元の人が多く、後者は全国から集まります。
どんな書画が見つかるかというと、
前者も後者も普段掛けするのに楽しめるような作品が多いです。
ただし後者は全国から集まりますので、地方のお祭りや文化色の強い作品が見れますので面白いです。
それと見逃せないのが、いわゆる”掘り出しモノ”がある可能性があるということです。
出店しているお店は実店舗を持たないところも多く、
地方で一般の方から買い出してきた「ウブ荷(一般の方から買わせてもらうことを”ウブ出しする”と業界で呼ぶことから)」を並べているからです。
実際、古美術業者が骨董市で仕入れをすることもあるんです。
『骨董市+都道府県名』で検索すると、いろいろ出てきますのでチェックしてみてください。
お祭り・縁日みたいで楽しいですよ。
・インターネット(ネットオークション)
さて、今やパソコン、インターネットは当たり前の時代になりました。
先ほどオークションの話をしましたが、
インターネット上でのオークション=ネットオークションでも盛んに取引が行われています。
以前は取引される金額も低かったのですが、今では何百万円という価格まで競り上がることも珍しくなくなりました。
それだけ取引する方々が慣れてきたことと、お金と品物のやりとりがキチンとされていて信頼度が上がったといえるでしょう。
売り手側から見て好都合なのは、店舗を持たなくても販売が出来るということです。
しかも本当の顔も名前も出さなくても参加できますし、売ると決めた時から誰でも何屋さんにでもなれるのです。
つまり、売り手には素人も相当数混じっています。
家にあった掛け軸をネットオークションで売ってみよう、そんな感覚でオークションに参加しています。
そもそもそのような売り手ですから、買い手側は気をつけないといけません。
有名な作家の名前がある作品というだけでは買うと痛い目にあいます。
その閲覧者数の多さから、今ではプロの業者もネットオークションで販売する人も大勢います。
日本だけにとどまらず世界を相手に商売をできるようになりますから、
今まで取引のなかった新しいお客さんを見つけられるツールになっています。
プロと素人を見分ける方法としては、一概には言えませんがプロは出品しているものに傾向があります。
書画なら書画のみといった具合で、素人なら書画以外に家具やオモチャのように統一性がありません。
ネットオークションでの取引で気をつけたいのは、
実物を見ることができず写真だけで判断して買わなければならないことと、
返品や保証の内容が取引する相手によって違うことです。
ですので、保証内容までよく読み、何より画像ではありますが作品をよく見てください。
気軽に参加できて楽しいのですが、本当に欲しい作品を見つけるには注意が必要です。
まとめ
作品を買う目的と、価格帯、買うことをどう楽しむかによって掛け軸を買う場所は変わります。
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デパートなら、普段の買い物と同じように書画が買えます。
古美術店なら、専門家から作品について詳しく教えてもらいながら書画が買えます。
オークションなら、映画の世界に入ったかのような雰囲気を味わいながら書画が買えます。
骨董市なら、掘り出し物はないかと宝探しをしているように書画が買えます。
インターネットなら、オークションと骨董市が合わさったように感じでしょう。ずっと探していたような作品(掘り出しも含む)を見つける楽しみと、それを競り落とす楽しみを味わいながら書画が買えます。
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あなたがどんな作品をどんな目的で、どのくらいの価格で買いたいのか。
実際に作品を探す前にまずはこれをハッキリさせてから買いに出られると、
買い物がスムーズに、より満足のいく買い物になると思います。
書画を買えるところが一箇所ではなく、それぞれの場所で特色があることを知ってもらい、
あなたが本当に欲しい作品と出会えるために役立てていただけたらと思います。
今回は『書画はどこで買えるのか』をお伝えしました。
ありがとうございました。