必見の展覧会!ー唐画もん〜武禅にろう苑 若冲も
千葉市美術館で開催されている
『唐画もん~武禅にろう苑 若冲も』
に行ってきました。

唐画もんのポスターとともに@千葉市美術館入り口
これまで応挙、大雅、蕭白に若冲といった作家は、第一線の取り上げ方をされてきました。
彼らと比べるとマイナーだった彼らがようやく取り上げられる順番が回ってきました!
私も彼らの作品と出会うたびに、素晴らしい作家だなと感じていました。
その彼らの作品が一堂に会するこの機会をお見逃しなく!
通常、一人の作家の作品は1つか2つ見ることくらいしかなく、多くの作品を並べてみることはないでしょう。
しかし、これが作家を深く理解するためにはとても重要なのです。
制作年代、落款、使用印、作風、それらがどう変化しているのか。
ぜひ意識してご覧になってください。
私見ですが、以下 率直な感想です。
**********
近世にはまだまだ紹介されるべき素晴らしい書画家が存在することを再認識した。
墨江武禅:
船頭でありながら、絵師としても活躍。
作品にも、几帳面に仕事をこなす職人であったのだろうという思わせる、
作画レベルの高い作品群に驚かされた。
しかし、伝統に則った硬い作品ばかりではなかった。
特に目を引いたのが洋画から学んだであろう風景画。
その他にも「光の表現」に個性が見られた。朝日や家の中から漏れる灯火。
彼のセンスが生んだオリジナリティだろう。
林閬苑(ろうえん):
30代で夭折した画家の作品がこれだけ一堂に会したことは、それだけでも意味深い。
木村蒹葭堂に送った早年の作品と、制作年が確認できる最晩年作品の間が10年しかあいていない。
しかし、その画力の違いは歴然だった。
以下、特に注目した作品。
・雨後山水図
大雅を思わせるスケールの大きさに驚いた。
・春雲出岫図
雲の表現に一見の価値あり
・会津八一旧蔵の山水図
橋を渡る樵がなんともユーモラスでニヤッとした。
・月下人物図 画賛
賛の字を見ると、大雅→五岳→閬苑の系譜がよくわかる。
・大鷲図、鹿図、奇岩図
これらの作品に近い絵を描く画家は…と考えた時に「林十江」が頭に浮かんだ。彼もまた夭折の画家。
********
他にも松本奉時、伊藤若冲 、耳鳥斎と面白い作品ずくし。
この秋 是非ご覧いただきたい展覧会です。
関西の方は10月31日から共同開催の大阪歴史博物館で見られますから、そちらに足を運んでください。
山添天香堂